基本定義

コーポレート・ガバナンスに関する報告書とは、証券取引所の定める適時開示制度の一環として、上場会社が提出を求められるコーポレート・ガバナンスの状況を記載した報告書である。コーポレートガバナンス報告書、CG報告書とも呼ばれる。

従来、コーポレート・ガバナンスに関する情報は各社の裁量に委ねられ決算短信で開示されていたが、他の情報と併せて開示されており、投資者が各社のコーポレート・ガバナンス体制について独自に比較・判断することが困難であった。そこで、コーポレート・ガバナンス関連情報を報告書の形で集約し、東証のウェブサイトで一覧として常時掲載する制度が設けられた。

概要

根拠規程 有価証券上場規程 第419条
提出先 各証券取引所(TDnet経由)
提出時期 定時株主総会終了後、遅滞なく
更新義務 記載内容に変更が生じた場合、遅滞なく提出
閲覧方法 東証「コーポレート・ガバナンス情報サービス」で公開
記載要領 東証が公表(直近は2025年7月版)

主な記載事項

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報
支配株主を有する場合は少数株主保護の方策、上場子会社を有する場合はグループ経営に関する考え方等を含む
経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレート・ガバナンス体制の状況
機関構成、取締役・監査役の状況、独立役員の状況、インセンティブ関係、現状の体制を選択している理由 等
株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況
株主総会の活性化、IR活動、ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み 等
内部統制システム等に関する事項
内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況、反社会的勢力排除に向けた体制整備 等
その他
買収防衛策の導入の有無、その他コーポレート・ガバナンス体制等に関する事項

コーポレートガバナンス・コードとの関係

コーポレート・ガバナンスに関する報告書には、コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示欄が設けられており、以下の内容を記載する必要がある。

コンプライ・オア・エクスプレインの開示

コードの各原則のうち、実施しないものがある場合には、当該原則を実施しない理由を具体的に記載する。プライム市場・スタンダード市場の上場会社は全原則が対象となり、グロース市場の上場会社は基本原則のみが対象となる。

特定の事項を開示すべきとする原則

以下の原則については、その内容を報告書に記載する必要がある。

主な対象原則 原則1-4(政策保有株式)、原則1-7(関連当事者間取引)、補充原則2-4①(多様性の確保)、原則3-1(情報開示の充実)、補充原則4-11①〜③(取締役会の実効性)等
プライム市場
追加対象
補充原則3-1③後段(TCFD等に基づく開示)、補充原則4-10①後段(指名委員会・報酬委員会の構成)等

提出のタイミング

新規上場時
新規上場申請に係る提出書類の一部として提出(ドラフトを審査時に提出)
定時株主総会終了後
遅滞なく提出(定例の更新タイミング)
記載内容に変更が生じた場合
遅滞なく提出(一部項目は次の定時株主総会後に一括更新も可)

IPO審査における位置付け

上場審査においては、コーポレートガバナンス・コードの適用状況が確認されるほか、コーポレート・ガバナンスに関する報告書のドラフトの提出が求められ、その内容についても審査の対象となる。

  • 「Ⅰの部」の「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」と共通する記載が多く、整合性に留意が必要
  • コードの各原則への対応方針を明確にし、実施しない原則については合理的な説明ができるよう準備する
  • グロース市場への上場であっても、将来の市場区分変更を見据えた体制整備が望ましい
  • 記載内容は取締役会で十分に議論し、経営者の考え方・基本方針が反映されていることが重要

近年の主な改訂事項

2023年4月、東証は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願い」を踏まえ、記載要領を改訂した。以下の記載事項が追加されている。

資本コストや株価を意識した経営

現状分析、計画策定・開示、取組みの実行の状況について記載

株主との対話の実施状況

株主との対話の実施状況、対話において把握された株主の意見・懸念等について記載

注意

コーポレート・ガバナンスに関する報告書は、投資者がコーポレート・ガバナンス体制を比較・判断するための重要な情報源である。単に形式的な記載にとどまらず、「コンプライ・アンド・エクスプレイン」(実施している原則についても積極的に説明する)の姿勢で、自社のガバナンスに対する考え方を自らの言葉で説明することが望ましい。

IPO支援サービス

IPOに精通した公認会計士の力で
あなたの会社のIPOを成功に導きます

株式会社プライムコンサルティングは、IPOを支援する専門家集団です。
監査法人・主幹事証券の立場からIPOを一貫して支援してきた実績を基に伴走します。

無料 まずは相談してみる

オンライン相談対応

執筆者

石塚 康一

Koichi Ishizuka

株式会社プライムコンサルティング 代表取締役/公認会計士

北海道大学農学部を卒業後、監査法人トーマツ 旧トータルサービス事業部入所。IPO監査に一貫して従事し、その後、野村證券投資銀行部門へ転職。公開引受部・法人営業部門にて、IPOアドバイザリーや、IPO準備企業の発掘、オファリングの支援等を行う。2024年、株式会社プライムコンサルティングを創業し、独立した立場からIPOの伴走を行う。

IPO準備についてのご相談を承ります

初回相談無料・オンライン対応可

お問い合わせ