IPOコラム

IPO(新規上場)に関する最新情報とインサイトをお届けします

【週刊 資金調達ニュース】アスエネ135億円、BlackRock系リード ― 大型ラウンドで広がる従業員セカンダリー 2026年7月第4週(7月18日〜7月24日)

【週刊 資金調達ニュース】アスエネ135億円、BlackRock系リード ― 大型ラウンドで広がる従業員セカンダリー 2026年7月第4週(7月18日〜7月24日)

2026年7月第4週(7月18日〜7月24日)に国内スタートアップが公表した資金調達7件を整理した。金額公表分の合計は約252億円で、最大はアスエネのシリーズD135億円。同ラウンドはBlackRock系のDecarbonization Partnersがリードし、新株発行68億円に加え、既存株主・従業員のセカンダリー37億円と金融機関借入約30億円を組み合わせた構成と説明されている。アスエネは従業員SOのセカンダリーを「未上場で日本初」とするが、同じ週にHelpfeelも同種の取り組みを「国内初」として公表しており、本記事では両論を併記した。T2・GTN・レブコムはいずれもファーストクローズで、新株発行・デット・セカンダリーの組み合わせが上位を占めた。IPO準備の観点では、クローズ単位での資本政策管理、SO台帳・株主名簿の整備が実務論点になると読める。

2026年7月27日 資金調達ニュース
IPO審査でコーポレートガバナンス・コードはどう扱われるか

IPO審査でコーポレートガバナンス・コードはどう扱われるか

新規上場申請にあたり、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)への対応が上場審査でどこまで問われるのかを整理します。グロース市場を目指す場合は説明義務の対象が基本原則に限られ、審査における重要性は高くありません。一方、プライム市場・スタンダード市場では基本原則と原則の全てが対象となり、記載内容と他の申請書類との整合性が問われます。機関設計と役員構成については、上場規程上の要件とCGコードの要件を両にらみで設計する必要があり、とりわけ支配株主を有する案件やプライム市場を目指す会社で重要になります。コーポレート・ガバナンスに関する報告書(CG報告書)の提出時期と、上場承認日からの公表についてもあわせて解説します。

2026年7月26日 IPO準備実務
コーポレートガバナンス・コード2026年改訂の全体像

コーポレートガバナンス・コード2026年改訂の全体像

2026年7月21日、金融庁と東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コード(CGコード)の2026年改訂版を確定・公表し、同日から施行されました。今回の改訂では基本原則が5個から4個、原則が31個から26個に再編され、補充原則47個という区分が廃止されています。補充原則の具体的な記述の多くは新設の「解釈指針」に移されましたが、解釈指針はコンプライ・オア・エクスプレインの対象外とされました。もっとも改訂版コードは、これが対応コスト・開示負担の軽減のみを意図したものではなく、移管された記載の重要性が失われたわけでもないと明記しています。原則の内容面では、成長投資と経営資源配分の不断の検証(原則4-1・4-2)、有価証券報告書の株主総会前提出(原則1-2)、独立社外取締役と取締役会事務局を含む取締役会の機能強化が主要な論点です。開示原則は番号が大きく動いており、サステナビリティ等4つの開示原則が廃止されました。改訂版に対応したコーポレート・ガバナンスに関する報告書(CG報告書)の提出期限は2027年7月末日で、全上場会社に共通し決算期による区分はありません。総会サイクルに乗らない会社は単発

2026年7月24日 IPO準備実務
【週刊 資金調達ニュース】核融合Starlight Engineが60億円超、今週も「デット併用」が目立つ(7月11日〜7月17日)

【週刊 資金調達ニュース】核融合Starlight Engineが60億円超、今週も「デット併用」が目立つ(7月11日〜7月17日)

2026年7月第3週(7月11〜17日)に公表された国内スタートアップの資金調達は16件、金額が公表されているものの合計は約80.6億円でした。最大はフュージョンエネルギーのStarlight Engineによる60.6億円で、グローバル・ブレインをリードに事業会社・金融機関16社が第三者割当増資に参加したと発表しています。今週目立ったのは、発電実証・薬事承認・宇宙運用など成果までに時間を要する開発先行型の領域に、事業会社・大学系・政府系の資本が入る動きです。核融合のStarlight Engine、宇宙状況把握でシード4.5億円を集めたJAXA発のStar Signal Solutions、眼科SaMDでシリーズC累計9.5億円のInnoJinがこの類型に当たります。一方、収益が立つ事業ではテイクアウトSaaSのランプがシリーズA追加分3.5億円をデットで調達し、希薄化を抑えました。実務家の視点として、開発先行型と収益先行型では調達手段の選択理由・赤字計画やコベナンツの説明が上場審査の論点になり、手段別(エクイティ/デット/公的資金)の内訳と時期を資本政策表・登記で一貫管理することが

2026年7月21日 資金調達ニュース
【スタートアップ資本政策】資本政策のアンチパターン① | 創業者が株式を持たないまま経営を担う

【スタートアップ資本政策】資本政策のアンチパターン① | 創業者が株式を持たないまま経営を担う

上場審査などでも創業者の持株比率が低いこと自体を禁じる規定はありません。資本政策上、それでも問題になるのは、資金調達・M&A・退職・上場という4つの節目で、いずれも誰が株式を持っているかが判断の前提になるためです。会社法上、普通決議は議決権の過半数、特別決議は3分の2以上で成立するため、単独で何を決められるかはこの2つの閾値との関係で決まります。エンジェルやシードの段階で持分の多くを放出してしまうと、その後のラウンドでさらに希薄化し、コーポレートアクションの難易度が上がります。議決権を確保する手段として種類株式を用いる例もありますが、上場に際しては整理が必要になります。買い戻すには相手の合意と資金が必要で、企業価値が上がるほど費用も増えるため、早い段階なら少額で済んだ是正が、ラウンドを重ねた後には大きな金額になります。本記事では、持分が問われる4つの場面を整理したうえで、是正に要するコストを企業価値の水準ごとに試算し、創業時に何を決めておけばよかったのかを具体的に示します。

2026年7月20日 IPO準備実務
【スタートアップ資本政策】資本政策のアンチパターン 第0回

【スタートアップ資本政策】資本政策のアンチパターン 第0回

資本政策は、創業時点から取り巻く問題であるにもかかわらず、規程や管理体制と違って後から直しにくい領域です。株主構成を変えるには原則、既存株主の同意と資金が必要で、企業価値が上がるほど負担は重くなります。しかも問題は日々の運営では表面化せず、追加の資金調達、会社の売却、経営陣や創業メンバーの退任、上場という節目を迎えたときに初めて問われます。本連載では、実務で繰り返し見られる失敗事例9類型を扱います。持分を持たない創業者、均等出資、退職者に残る株式、無計画な希薄化、早すぎる高いバリュエーション、SOプールの設計不足、親族・関係会社への分散、種類株式の条項の整理漏れ、上場直前期の株式移動です。

2026年7月20日 IPO準備実務
【IPO準備実務】IPOバリュエーションにおけるPER倍率は「いつの利益・どの利益」が乗算されるか

【IPO準備実務】IPOバリュエーションにおけるPER倍率は「いつの利益・どの利益」が乗算されるか

PERマルチプルによる想定発行価格の算出において、倍率を乗じる相手である予想当期純利益がどの期のものかは、制度上一義的に決まっていません。日本証券業協会は、理論価格の算定方法は主幹事証券会社のノウハウであり、価格設定のプロセスは詳細に規定されているわけではないとしています。最終的にバリュエーションを行うのは主幹事であり、どの部署が主導するかは証券会社ごとに異なりますが、いずれにせよ判断の土台になるのは会社の事業計画とその精度です。計画の信頼性が高ければ、より先の期の利益や強気の水準が採用され、プレミアムが乗ることもある一方、信用が置けなければディスカウントされます。実務の基本形は上場申請期(FY+1)の予想当期純利益ですが、獲得コストが先行し収益が翌期以降に計上される積み上げ型モデルでは、上場申請翌期(FY+2)の利益が用いられることがあります。この場合、公表される予想PERはFY+1ベースのままであるため、投資家の目には割高に映るというズレが生じます。類似会社側の期の揃え方、特別損益を排除する修正利益の作り込みも含め、いずれも主幹事との綿密な協議が不可欠です。

2026年7月15日 IPO準備実務
【週刊 資金調達ニュース】チューリングがシリーズAで278.9億円、上場前ラウンドに広がる「デット併用」2026年7月第2週(7月4日〜7月10日)

【週刊 資金調達ニュース】チューリングがシリーズAで278.9億円、上場前ラウンドに広がる「デット併用」2026年7月第2週(7月4日〜7月10日)

2026年7月4日から7月10日までの1週間に公表された国内スタートアップの資金調達は19件でした。このうち金額が公表されているのは9件で、合計は約372億円です。最大の案件は、完全自動運転システムを開発するチューリングのシリーズAラウンド全体278.9億円で、今週の公表額の大半を占めました。

2026年7月13日 資金調達ニュース
【IPO準備実務】IPOにおけるバリュエーションはどう決まるのか

【IPO準備実務】IPOにおけるバリュエーションはどう決まるのか

IPOの株価は、想定発行価格・仮条件・公開価格という3段階を経て決まり、企業価値評価の理論が直接効くのは最初の想定発行価格の段階です。実務の基本形は類似会社比較法(PERマルチプル)であり、更に公正取引委員会の実態把握では、証券会社の90.9%がIPOディスカウントを実施し、その水準は20%以上30%未満との回答が最多だったとされています。もっとも「類似会社のPER × 予想当期純利益 × (1−ディスカウント率)」という算出構造のうち、倍率は市場が、ディスカウント率は実質的に主幹事が決めるため、発行会社が主張できるのは類似会社及び予想当期純利益だけです。SaaSではPSR・EV/Revenue、創薬バイオではDCF・rNPVが用いられますが、手法の選択はいずれも「将来利益の割引」の裏返しにすぎません。未上場ラウンドはVCレート等を割引率とするDCF法が主流とされ、時にIPO時のPER評価との間に「評価軸の断絶」が生じます。本記事では、IPOにおけるバリュエーションの決定方法を理解しておくことにより、正しい資本政策に導きます。

2026年7月12日 IPO準備実務
SmartHRの上場延期と「PSR5倍」時代のIPOバリュエーションへの考察

SmartHRの上場延期と「PSR5倍」時代のIPOバリュエーションへの考察

SmartHRが年内に目指していた東証上場を見送ったと報じられています。ARR300億円到達を公表しながら、目標時価総額約1,600億円を投資家が高すぎると評価したためとされ、この額はすでに前回シリーズEの評価額約1,800億円を下回る水準でした。背景には、2020〜2021年のSaaSバブル期に平均20倍超を付けた売上マルチプルが、2025年には上場SaaS28社平均4.4倍まで圧縮されたという水準変化があります。本記事では、赤字先行のSaaSがPER(利益倍率)ではなくPSR(売上倍率)で評価される理由、EV/RevenueやNTM、Rule of 40といった指標の読み方を整理したうえで、PSR5倍前後を前提にすると、グロース市場の新たな上場維持基準(2030年以降、上場5年経過後に時価総額100億円)を満たすにはARR20〜30億円規模が要るという逆算を示します。IPO準備企業には、未上場の評価額ではなく公開市場の物差しから逆算する姿勢が求められると考えられます。

2026年7月11日 IPO準備実務
【会計処理解説】取引先が倒産したときの貸倒損失・貸倒引当金の会計処理

【会計処理解説】取引先が倒産したときの貸倒損失・貸倒引当金の会計処理

取引先の倒産・経営悪化に伴う債権処理は、会計上の貸倒引当金・貸倒損失と、税務上の貸倒損失・貸倒引当金という二つの体系を別の物差しで動かす作業となります。税務上、貸倒損失として損金算入が認められるのは法人税基本通達9-6-1〜9-6-3の3類型に限られ、貸倒引当金の損金算入も資本金1億円以下の中小法人等が原則です。会計は将来の回収不能に早めに備え、税務は損失確定後に損金を認めるため両者はずれ、申告調整と税効果での橋渡しが必要になります。IPO準備企業では、区分判定と見積り根拠の文書化、債権管理の内部統制、法人税と消費税の貸倒れ処理の連動が実務上の要点になると考えられます。

2026年7月10日 会計関連
【会計処理解説】ASBJが「法人税等に関する会計基準(改正企業会計基準第27号)」を公表

【会計処理解説】ASBJが「法人税等に関する会計基準(改正企業会計基準第27号)」を公表

2026年7月7日、ASBJは改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」等を公表しました。従来は具体的な税金を税法参照で特定していましたが、今回、適用対象を原則的な定めで受け止め、個別税金の当てはめは補足文書に委ねる方式へ転換し、名称も改称されています。適用対象は「課税対象利益を基礎とする税金」と「該当しない税金(住民税均等割等)」に区分されました。会計処理の結論は概ね維持される一方、税金費用の表示科目や住民税(均等割)の表示・キャッシュ・フロー計上、税効果の定義に変更が及びます。IPO準備企業は、適用時期・早期適用の方針を監査法人と共有し、表示科目やシステム設定を点検しておくことが実務的とされています。

2026年7月9日 会計関連
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