IPOコラム
IPO(新規上場)に関する最新情報とインサイトをお届けします

【2026年改訂】コーポレートガバナンス・コード改訂の解説ー原則83から30へ と削減
2026年4月に公表されたコーポレートガバナンス・コード改訂案では、コンプライ・オア・エクスプレインの対象が基本原則・原則に絞られ、補充原則は非対象の「解釈指針」に置き換わりました。原則数は83個から30個へと大幅に整理されていますが、これは負担軽減ではなく形式的対応の一掃を狙ったものと位置づけられており、丁寧なエクスプレインが求められる構造になっています。原則4-1・4-2では成長投資と経営資源配分の説明・検証が、原則4-14では取締役会事務局の機能強化が明記されました。グロース市場は基本原則のみが対象という枠組みは維持される見込みですが、成長の道筋と資本政策を語れる体制づくりは市場区分を問わず意味を持つと考えられます。上場準備段階からエクスプレインを前提にガバナンスを設計しておくことが、改訂の趣旨に沿った備えになるでしょう。

「記述情報の開示の好事例集2025」最終版が公表
金融庁は2026年3月27日、「記述情報の開示の好事例集2025」の最終版を公表しました。2025年12月のサステナビリティ情報編に、MD&A・事業等のリスク・重要な契約・コーポレートガバナンス等の開示例を加えた二部構成で、有報の記述情報全般をほぼ網羅したとされています。好事例集は義務ではなく、当局と投資家が有用と見る開示水準を実例で示す資料と位置づけられます。共通の期待として、有報と任意開示の役割分担、将来情報を支える開示プロセスの整備と第三者チェック、AI分析を意識した機械可読性が挙げられています。SSBJ基準が2027年3月期からプライム大企業を対象に段階適用される流れのなかで、IPO準備企業にとっても、Ⅰの部の記述情報が上場後の有報に引き継がれる構造を踏まえ、自社固有の記載・開示体制づくりを上場準備に織り込む意義があると整理しています。

「取適法の外側」にも支払60日ルール ― 大企業間の製造委託を捉える新・特殊指定
公正取引委員会は、取適法の対象外だった製造委託等の取引についても、受領日から60日以内の支払いを義務づける特殊指定(令和8年公正取引委員会告示第3号)を定めました。資本金・従業員の規模要件を満たさない大企業同士の取引でも、受注者の取引上の地位が劣後する場合には支払遅延が規制されます。施行は2027年4月1日。IPO準備企業・上場会社に求められる支払サイト・契約・内部統制の点検ポイントを、一次資料をもとに整理します。

I-ne特別調査委員会報告書の解説と東証「宣誓書違反」決定について~IPO準備企業への示唆~
2026年4月、株式会社I-ne(証券コード4933)の特別調査委員会は、代表取締役社長個人が主導した「新会社」設立・買収スキームに関する調査報告書を公表したとされています。社長が自己資金を元従業員に貸し付けて設立させた会社(RH社)が運営していたブランドを、I-neが18億円で買収する過程で、貸付額や資金の出所について取締役会・監査法人・東証審査への説明が事実と異なっていたと報告書は認定しています。委員会は、議決権を保有していなくても社長個人の実質的支配が認められれば関連当事者に該当し得ると判断しました。これを受けて東京証券取引所は2026年6月、2023年のプライム市場区分変更申請時の宣誓書の内容が事実と異なっていたとして、宣誓書違反による再審査に係る猶予期間入りと上場契約違約金3,360万円の徴求を決定しています。本記事では事件の経緯を整理したうえで、宣誓書がIPO審査・市場区分変更審査で持つ重い意味と、関連当事者取引がⅡの部・各種説明資料で網羅的な開示を求められる制度的背景を解説し、IPO準備企業が押さえておくべき実務上の教訓をまとめています。

エブリー(607A)上場承認レポート|「デリッシュキッチン」で月間3,100万MAU、黒字転換を経て東証グロース上場
レシピ動画「デリッシュキッチン」を運営するエブリーが2026年8月4日に東証グロースへ上場。月間3,100万MAUのユーザー基盤と全国11,000台超のデジタルサイネージを武器に、Marketing Solutionビジネスを拡大している。

【IPOの歴史】マザーズ第1号の栄光と転落 リキッドオーディオ・ジャパン事件が変えたIPO審査

【上場承認】株式会社ビーエイブル(604A)|福島第一廃炉でロボット解体を成功させた地元元請企業、IHI資本提携で次の30年へ
福島県大熊町に本社を置く廃炉・原子力工事の地元元請企業、株式会社ビーエイブル(604A)が2026年7月29日に東証スタンダード市場へ上場。遠隔操作ロボットによる排気筒解体で内閣総理大臣賞を受賞、2025年9月にはIHIと資本業務提携を締結した。

アイ・グリッド・ソリューションズ(603A)IPO上場承認|オンサイトPPA国内No.1、想定時価総額247億円
商業施設屋根上のオンサイトPPA「R.E.A.L. Solar Power」と独自AIプラットフォームで余剰電力循環を実現するアイ・グリッド・ソリューションズ。2026年7月29日に東証グロース市場へ上場予定。

チャットプラス(598A)IPO上場承認レポート|国内シェア首位のAIチャットボットSaaS、経常利益率36%の高収益企業
チャットプラスは7月15日に東証グロース市場へ上場。吸収金額約13.9億円、時価総額約48.8億円。国内チャットボット市場でシェア首位とされるAIチャットボットSaaS企業で、2025年6月期は経常利益率36.1%の高収益を実現。VCなしの安定した株主構成が注目。

ティアフォー(593A)東証グロース上場へ — 訂正届出書で想定価格1,015円・時価総額644.8億円が確定
2026年6月29日付の訂正有価証券届出書で想定発行価格1,015円・時価総額約644.8億円が確定。当初S-1方式で「未定」だった主要数値が出揃ったため、改めてオファリング構造とPSR比較で整理しました。

ネイス(589A)IPO上場承認 ─ 子ども向け体操教室・発達支援を全国182拠点で展開、5年で530店体制目指す
ネイスは6月30日に東証グロース市場へ上場。吸収金額約17.1億円、推定時価総額約53億円。ショッピングセンター内中心に体操教室177店・発達支援施設11店を展開する子ども向けサービス企業。VCなしの株主構成と売上23%成長が注目。

LiNKX(584A)IPO上場承認|金融機関向けAIモダナイゼーションを担うエンジニア集団のグロース上場を読み解く
LiNKX(584A)は北國銀行の次世代勘定系・みんなの銀行のBaaS基盤など金融DX案件を担うエンジニア集団。2025/6期売上+66.1%、経常利益率24.5%の高成長で2026年6月23日にグロース市場へ上場予定。
