【IPO準備実務】IPOにおけるバリュエーションはどう決まるのか
IPOの株価は、想定発行価格・仮条件・公開価格という3段階を経て決まり、企業価値評価の理論が直接効くのは最初の想定発行価格の段階です。実務の基本形は類似会社比較法(PERマルチプル)であり、更に公正取引委員会の実態把握では、証券会社の90.9%がIPOディスカウントを実施し、その水準は20%以上30%未満との回答が最多だったとされています。もっとも「類似会社のPER × 予想当期純利益 × (1−ディスカウント率)」という算出構造のうち、倍率は市場が、ディスカウント率は実質的に主幹事が決めるため、発行会社が主張できるのは類似会社及び予想当期純利益だけです。SaaSではPSR・EV/Revenue、創薬バイオではDCF・rNPVが用いられますが、手法の選択はいずれも「将来利益の割引」の裏返しにすぎません。未上場ラウンドはVCレート等を割引率とするDCF法が主流とされ、時にIPO時のPER評価との間に「評価軸の断絶」が生じます。本記事では、IPOにおけるバリュエーションの決定方法を理解しておくことにより、正しい資本政策に導きます。
SmartHRの上場延期と「PSR5倍」時代のIPOバリュエーションへの考察
SmartHRが年内に目指していた東証上場を見送ったと報じられています。ARR300億円到達を公表しながら、目標時価総額約1,600億円を投資家が高すぎると評価したためとされ、この額はすでに前回シリーズEの評価額約1,800億円を下回る水準でした。背景には、2020〜2021年のSaaSバブル期に平均20倍超を付けた売上マルチプルが、2025年には上場SaaS28社平均4.4倍まで圧縮されたという水準変化があります。本記事では、赤字先行のSaaSがPER(利益倍率)ではなくPSR(売上倍率)で評価される理由、EV/RevenueやNTM、Rule of 40といった指標の読み方を整理したうえで、PSR5倍前後を前提にすると、グロース市場の新たな上場維持基準(2030年以降、上場5年経過後に時価総額100億円)を満たすにはARR20〜30億円規模が要るという逆算を示します。IPO準備企業には、未上場の評価額ではなく公開市場の物差しから逆算する姿勢が求められると考えられます。
【IPOの歴史】リクルート事件とは|IPO制度「公開前規制」を根本から変えた戦後最大の贈収賄事件
リクルート事件とは、日本のIPO制度を根本から変えた戦後最大の贈収賄事件。 IPOの歴史を変えた事件として解説をします。公開前規制を理解するのにぜひ。
JPXスタートアップ急成長100指数の構成銘柄一覧と選定基準|2026年3月配信開始
2026年2月13日、JPX総研は「JPXスタートアップ急成長100指数」の算出要領と構成銘柄100社を正式公表。2026年3月9日からリアルタイム配信を開始する。売上高成長率・時価総額成長率の2指標で選定された100社の内訳は、情報・通信業46社、サービス業23社が中心。グロース市場改革の一環として、高成長企業への投資拡大の好循環を目指す。
グロース市場特設ページ、掲載申請していますか? ― 申請方法について解説(Targetを見てください。)
2026年2月6日、東証はJPxData Portal上に「グロース市場特設ページ」を開設しました。高い成長を目指すグロース上場企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」の開示を一覧化し、投資家への情報発信を後押しする施策です。掲載申請が出来ていない会社さんはとりあえずTargetを見てください!!!
東証がグロース市場「特設ページ」を開設 ― 成長企業の"見える化"は何を変えるか
2026年2月6日、東京証券取引所(以下「東証」)は、JPX総研が提供する「JPxData Portal」上に「グロース市場特設ページ」を開設しました。東証によるグロース市場の支援の一環ですが、どのような内容なのかを簡単に解説します。
