会計と税務の二つの物差しを整理する ― IPO準備企業が押さえる見積り・申告調整・債権管理
この記事でわかること
- 税務上、貸倒損失として損金算入が認められるのは法人税基本通達9-6-1〜9-6-3の3類型に限られ、それぞれ対象債権・要件・経理方法が異なること
- 会計上は債権を一般債権・貸倒懸念債権・破産更生債権等の3つに区分し、区分ごとに異なる方法で貸倒見積高を算定すること
- 貸倒引当金の損金算入は資本金1億円以下の中小法人等に原則として限られ、上場準備の過程で資本政策が進むと税務上の取扱いが変わりうること
- 会計上の引当・損失と税務上の損金がずれる場面では、申告調整と税効果会計の処理が必要になること
- IPO審査・監査では、貸倒引当金の見積りの合理性と、その前提となる債権管理の内部統制が重点的に確認されること
1. 全体像 ― 「貸倒れ」には会計と税務の二つの物差しがある
取引先が倒産した、あるいは資金繰りが悪化して売掛金の入金が止まった。こうしたとき、回収できなくなった債権をどう会計処理し、税務上どこまで損金にできるかは、実務でしばしば判断に迷うところです。ここでつまずく原因の多くは、「貸倒れ」という一つの言葉に会計と税務の二つの物差しが重なっている点にあります。
会計上の処理は、金融商品会計基準(企業会計基準第10号)に基づきます。債権は取得価額から貸倒見積高に基づく貸倒引当金を控除した金額で貸借対照表に計上され、回収不能が確定した部分は貸倒損失として費用計上されます。ここでの関心は、期末時点の債権が回収可能性の観点から適正に評価されているか、すなわち投資家に対して債権の実態が正しく表示されているかにあります。
税務上の処理は、法人税法と法人税基本通達に基づきます。ここでの関心は、損金算入によって課税所得が恣意的に圧縮されていないかにあります。会計が「将来の回収不能に備えて早めに費用を認識する」方向に働くのに対し、税務は「損失が確定してから損金にする」方向に働きます。この向きの違いが、後述する会計と税務のズレを生みます。
IPO準備企業にとって、この論点は三つの局面で表面化します。第一に、監査法人による会計監査で貸倒引当金の見積りの合理性が問われる局面です。第二に、法人税申告で会計と税務の差異を申告調整し、税効果会計に反映する局面です。第三に、その前提として債権管理の内部統制を整備・運用する局面です。本稿では税務上の貸倒損失から入り、会計上の引当、両者のズレ、そしてIPO実務への落とし込みの順に整理します。
なお、以下では原則法(金融商品会計基準)を適用する会社を念頭に置きます。未上場段階で「中小企業の会計に関する指針」(中小指針)を適用している会社は、上場準備の過程で原則法へ移行することになるため、その差も後段で触れます。
2. 税務上の貸倒損失 ― 損金算入が認められる3類型
税務上、貸倒損失を損金の額に算入するための一般的な基準は、法人税基本通達9-6-1から9-6-3までに定められています。実務では、この三つの類型のいずれに当てはまるかを検討する形で判断が進みます。三つは対象となる債権の範囲も、要件も、経理方法も異なります。
参考: 国税庁「法人税基本通達 第9章第6節第1款 金銭債権の貸倒れ」(9-6-1〜9-6-3) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_06_01.htm
2-1. 法律上の貸倒れ(法基通9-6-1)
法的な手続や当事者間の合意によって、債権そのものが法律上消滅した、あるいは切り捨てられた場合の取扱いです。具体的には、更生計画認可の決定・再生計画認可の決定により切り捨てられた金額、特別清算に係る協定の認可の決定により切り捨てられた金額、法令によらない関係者の協議決定(債権者集会の協議決定など合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの)による切捨額、そして債務者の債務超過の状態が相当期間継続し弁済を受けられない場合に書面によって明らかにした債務免除額が該当します。
この類型の特徴は、通達の末尾が「損金の額に算入する」となっている点にあります。法律上すでに債権が消滅している以上、会社が決算で貸倒損失を計上していなくても税務上は損金となります。したがって、更生計画の認可決定があったにもかかわらず経理を失念していたような場合でも、法定申告期限から原則5年以内であれば更正の請求により是正しうると考えられています。対象は売掛債権に限られず、貸付金その他の金銭債権も含まれます。
ただし、書面による債務免除は、実質を伴わなければ寄附金として扱われるおそれがあります。債務者の債務超過が相当期間継続し、回収の見込みがないという実質的な前提が満たされていることが必要です。
2-2. 事実上の貸倒れ(法基通9-6-2)
法律上は債権が残っているものの、債務者の資産状況・支払能力等からみて、その全額が回収できないことが明らかになった場合の取扱いです。取引先が廃業して資産が残っていない、破産状態にあるが正式な法的整理までは行われていない、財産調査をしても差押可能な財産がない、といった場面が想定されます。
この類型で見落とされやすいのが「全額」という要件です。一部でも回収の見込みがあれば、この通達によって貸倒れとすることはできません。担保物があるときはその担保物を処分した後でなければ損金経理できず、保証人がいるときは保証人からの回収可能性を考慮する必要があります。回収不能を客観的に裏づける資料の整備が、税務調査での否認を避ける鍵となります。
なお、破産手続については9-6-1に切捨ての規定がないため、この9-6-2で実質的に判定することになります。管財事件では破産手続の終結決定時または廃止決定時に、同時廃止事件では廃止決定時に、それぞれ回収不能が明らかになったものとして貸倒れが確定すると考えられています。
2-3. 形式上の貸倒れ(法基通9-6-3)
売掛債権に限って認められる、いわば外形基準による特例です。債務者との取引を停止した時(最後の弁済期または最後の弁済の時がそれ以後であるときは、それらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合、または同一地域の債務者に対する売掛債権の総額がその取立てのための旅費その他の費用に満たない場合に督促しても弁済がないときに、売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理できます。
この類型には、実務上とくに注意すべき制約がいくつかあります。第一に、対象は売掛金・未収請負金その他これらに準ずる債権に限られ、貸付金は含まれません。資金繰り支援として取引先に貸し付けた資金は、この通達では処理できません。第二に、備忘価額(通常1円)を残す必要があり、全額を損金にはできません。得意先元帳を閉鎖せずに残し、後日回収があったときに償却債権取立益として益金算入するためです。第三に、継続的な取引を前提とします。不動産の売却のようにたまたま行った単発取引から生じた債権には適用がありません。ただし、実際の取引が結果として1回だけであっても、継続・反復して取引する意思をもって顧客情報を管理していた場合には、継続的な取引を行っていた債務者として扱いうるとされています。
三つの類型を整理すると次のとおりです。
| 類型 | 根拠通達 | 対象債権 | 主な要件 | 損金算入額 | 経理要件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法律上の貸倒れ | 9-6-1 | 金銭債権全般 | 更生・再生計画認可、特別清算協定認可、協議決定、書面による債務免除 | 切り捨てられた金額 | 不要(損金経理していなくても損金算入) |
| 事実上の貸倒れ | 9-6-2 | 金銭債権全般 | 資産状況・支払能力等からみて全額が回収不能であることが明らか(担保処分後) | 全額(備忘価額不要) | 損金経理が必要 |
| 形式上の貸倒れ | 9-6-3 | 売掛債権のみ | 取引停止後1年以上経過、または取立費用に満たない少額債権の督促後不払い | 備忘価額控除後の残額 | 損金経理が必要 |
別表01:貸倒損失3類型の比較(法人税基本通達9-6-1〜9-6-3に基づき作成)
3. 貸倒引当金 ― 会計の債権3区分と税務の適用対象法人・繰入限度額
貸倒損失が「確定した損失」であるのに対し、貸倒引当金は「将来の回収不能の見込額」です。同じ債権をめぐる処理でありながら、会計と税務でこの引当の考え方が最も大きく分かれます。
3-1. 会計上の債権3区分と貸倒見積高
金融商品会計基準は、債務者の財政状態および経営成績等に応じて債権を三つに区分し、区分ごとに貸倒見積高を算定することを求めています。区分と算定方法の対応は次のとおりです。
| 会計上の債権区分 | 定義 | 貸倒見積高の算定方法 |
|---|---|---|
| 一般債権 | 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権 | 貸倒実績率法(債権全体・同種の債権ごとに過去の貸倒実績率で算定) |
| 貸倒懸念債権 | 経営破綻には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか生じる可能性が高い債務者に対する債権 | 財務内容評価法またはキャッシュ・フロー見積法 |
| 破産更生債権等 | 経営破綻または実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権 | 財務内容評価法(担保処分見込額・保証回収見込額を控除した残額を全額) |
別表02:会計上の債権3区分と貸倒見積高の算定方法(金融商品会計基準27項〜28項・金融商品実務指針に基づき作成)
一般債権は、期末残高に過去2〜3年の貸倒実績率を乗じて一括で見積もります。信用リスクが過去と著しく異なる場合には実績率を補正し、新規業態への進出などで過去実績が参考にできない場合には同業他社の引当率等の合理的な方法を用います。
貸倒懸念債権は、担保・保証で回収が見込まれる部分を控除したうえで、残額について債務者の支払能力を総合的に判断して見積もる財務内容評価法か、将来キャッシュ・フローを当初の約定利子率で割り引いた金額と帳簿価額との差額を見積もるキャッシュ・フロー見積法によります。もっとも、一般事業会社では債務者の支払能力を判断する資料の入手が難しいことも多いため、貸倒懸念債権と初めて認定した期には残額の50%を引き当て、翌期以降に毎期見直す簡便法も実務指針上認められています。
破産更生債権等は、担保処分見込額と保証回収見込額を控除した残額をそのまま貸倒見積高とします。原則として貸倒引当金として処理しますが、債権金額から直接減額することも認められます。
3-2. 税務上の貸倒引当金と適用対象法人
税務上の貸倒引当金は、会計上の引当のようにすべての会社が損金算入できるわけではありません。平成24年度以降、貸倒引当金の損金算入は法人税法第52条に列挙された特定の法人に限定されています。中心となるのは、資本金の額が1億円以下の中小法人等です。ただし、資本金5億円以上の大法人による完全支配関係がある子会社などは除かれます。このほか、銀行・保険会社等、リース債権その他一定の金融取引に係る金銭債権を有する法人が対象となります。
裏を返せば、資本金が5億円以上の大法人などでは、貸倒引当金の繰入額は税務上損金の額に算入されません。会計上は当然に引当を計上するため、繰入時に申告調整(加算・留保)を行い、その債権について実際に貸倒れや個別評価事由が確定した事業年度に認容減算することになります。IPO準備の過程で資本金が大きくなると、この取扱いの分岐に近づくため、資本政策との関係で意識しておきたい点です。
参考: 国税庁タックスアンサー「No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5501.htm
3-3. 個別評価・一括評価と繰入限度額
税務上の貸倒引当金は、期末の金銭債権を個別評価金銭債権と一括評価金銭債権に区分し、それぞれ繰入限度額を計算します。会計の3区分とは考え方の軸がずれており、この対応関係の理解が実務では重要になります。
個別評価金銭債権は、いわば不良債権にあたるもので、繰入限度額は法人税法施行令96条1項の事由ごとに定められています。更生計画認可の決定等により弁済が猶予・賦払いとされた場合は、5年以内に弁済予定の金額を除いた部分です(長期棚上げ基準)。債務超過の状態が相当期間継続し事業に好転の見通しがない場合は、取立て等の見込みがないと認められる金額です(実質基準)。更生手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、破産手続開始の申立て、手形交換所の取引停止処分などが生じた場合は、担保・保証等でカバーされる部分を除いた金額の50%です(形式基準)。ここでいう「相当期間」は、通達上おおむね1年以上とされています。
一括評価金銭債権は、個別評価の対象とした債権を除く売掛金・貸付金その他これらに準ずる金銭債権です。繰入限度額は、期末の一括評価金銭債権の帳簿価額に貸倒実績率を乗じて計算するのが原則です。中小法人等は、この実績繰入率に代えて、業種ごとに定められた法定繰入率を用いることも認められており、通常は損金算入額が大きくなる有利な方を選択します。適用除外事業者(過去3年の所得金額の年平均が15億円を超える法人等)は法定繰入率を使えず、実績率による計算に限られます。
法定繰入率は業種区分ごとに次のとおりです。
| 業種区分 | 法定繰入率 |
|---|---|
| 卸売業・小売業(飲食店業を含む) | 10/1,000 |
| 製造業(電気業・ガス業・水道業等を含む) | 8/1,000 |
| 割賦販売小売業等 | 7/1,000 |
| 金融業・保険業 | 3/1,000 |
| その他の事業(サービス業・不動産業など) | 6/1,000 |
別表03:一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の法定繰入率(法人税法施行令・租税特別措置法に基づき作成。割賦販売小売業等は令和3年度改正前は13/1,000)
会計の3区分と税務の個別評価・一括評価は、破産更生債権等が概ね個別評価に、一般債権が概ね一括評価に対応する関係にあります。ただし、会計上で貸倒懸念債権と判定して引当を積んでも、税務上の個別評価事由(施行令96条1項)に形式的に該当しなければ、その引当額は損金として認められません。両者は似て非なるものであり、区分をそのまま流用できない点が、次章のズレの主要な原因となります。
4. 会計と税務のズレをどう処理するか ― 申告調整と税効果
会計と税務は同じ債権を別の物差しで測るため、期ごとに金額がずれます。実務で頻出するのは次の三つの場面です。
第一に、会計上の引当が税務上の繰入限度額を超える場面です。会計で貸倒懸念債権に50%を引き当てても、税務上その債務者に個別評価事由がなければ、超過部分は損金不算入となります。繰入超過額は申告調整で加算(留保)し、翌期以降にその債権が税務上の貸倒れや個別評価事由に該当した事業年度で認容減算します。この留保項目は将来減算一時差異となり、税効果会計上は繰延税金資産の対象となります。ただし繰延税金資産は回収可能性の判断を伴うため、計上できるとは限りません。
第二に、会計上は貸倒損失を計上したものの、税務上の貸倒れ(9-6-1〜9-6-3)の要件をまだ満たしていない場面です。この場合も会計上の損失を申告調整で加算・留保しておき、税務上の要件を満たした事業年度に認容・減算します。なお貸倒引当金の適用対象法人であれば、個別評価事由に該当する債権については個別貸倒引当金の繰入限度額まで損金算入できるため、加算調整をしたうえでその範囲で救済される余地があります。
第三に、未上場段階で中小指針を適用していた会社が、上場準備で原則法へ移行する場面です。中小指針では、法人税法上の繰入限度額(法定繰入率等)による引当が実務上許容されていますが、原則法では債権を3区分し区分ごとに見積もることが求められます。移行に伴って引当額の水準や算定根拠が変わり、過年度からの遡及適用や比較情報の修正が論点になりえます。
いずれの場面でも、会計上の費用計上と税務上の損金算入の時期がずれること自体は、正しく申告調整と税効果を行っていれば問題ではありません。むしろ、ずれを把握せずに会計上の引当額をそのまま損金にしてしまうことが、税務調査での否認につながります。
5. IPO準備企業が今から準備すべきこと
ここまでの制度整理を、上場準備の実務に落とし込みます。
5-1. 見積りの合理性を説明できるようにする
貸倒引当金は会計上の見積りの代表例であり、監査法人によるショートレビューや会計監査で必ず確認されます。上場企業では、見積りの不確実性が高く監査上の判断が必要な項目が「監査上の主要な検討事項(KAM)」として監査報告書に記載されることもあり、貸倒引当金や関係会社への債権の評価はその候補になりやすい項目です。
準備の要点は、区分判定と算定根拠を文書化することにあります。どの債権を貸倒懸念債権・破産更生債権等と判定したのか、その根拠となる債務者の財務情報や延滞状況をどう入手・評価したのか、一般債権の貸倒実績率をどの期間のどのデータで算定したのかを、第三者が追えるかたちで残します。過去の貸倒実績データが社内に蓄積されていないと実績率の合理性を説明できないため、N-2期・N-1期のうちからデータの整備に着手しておきたいところです。
5-2. 債権管理の内部統制
見積りの合理性は、その前提となる債権管理プロセスの品質に支えられます。与信管理、請求・入金消込、売掛金のエイジング(年齢調べ)による滞留債権の把握、滞留債権の回収督促と区分見直しという一連の流れが、統制として整備・運用されているかが問われます。上場後は財務報告に係る内部統制の評価(いわゆるJ-SOX対応)の対象にもなるため、貸倒引当金の見積りに至る債権管理の統制は、上場準備の段階から3点セット(業務記述書・フローチャート・RCM)に落とし込んでおくことが望まれます。
とくに、営業部門が把握している取引先の信用不安情報が、経理部門の区分判定に適時に反映される経路があるかは、実務で盲点になりやすい点です。営業と経理の情報連携が断たれていると、破綻が表面化してから慌てて引当を積むことになり、期間損益の適正性を損ないます。
5-3. 消費税の貸倒れ控除の取りこぼし
見落とされやすいのが消費税です。貸倒引当金の繰入額は消費税の課税対象外ですが、課税売上の対価である債権が税務上の貸倒れに該当したときは、その貸倒れとなった税込金額に含まれる消費税額を、貸倒れの日の属する課税期間の売上げに係る消費税額から控除できます(消費税法39条)。回収不能となった売掛金について貸倒損失を計上しながら、消費税の貸倒れに係る税額控除を失念すると、納めなくてよい消費税を負担することになります。法人税の貸倒れ処理と消費税の税額控除を連動させる運用にしておきたいところです。
6. 結び
取引先の倒産や経営悪化に伴う債権の処理は、会計上の貸倒引当金・貸倒損失と、税務上の貸倒損失・貸倒引当金という二つの体系を、それぞれの物差しで動かす作業です。会計は将来の回収不能に備えて早めに費用を認識し、税務は損失が確定してから損金を認めます。この向きの違いから生じるズレを、申告調整と税効果で正しく橋渡しできるかどうかが、決算・申告の品質を分けます。
IPO準備企業にとっては、この処理の適否が、監査対応・申告・内部統制の三方向から評価されます。手を打つべきは、区分判定と見積りの根拠を文書として残すこと、その前提となる債権管理の統制を整えること、そして法人税と消費税の貸倒れ処理を連動させることです。取引先の信用不安は前触れなく訪れるため、体制の整備は平時のうちに進めておきたいところです。
参考文献・一次資料一覧
政府・公的機関
- 国税庁「法人税基本通達 第9章第6節第1款 金銭債権の貸倒れ」(9-6-1〜9-6-3) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_06_01.htm
- 国税庁「法人税基本通達 第11章第2節 貸倒引当金」(個別評価金銭債権・一括評価金銭債権) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/11/11_02_02.htm
- 国税庁タックスアンサー「No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5501.htm
- 国税庁タックスアンサー「No.5500 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5500.htm
- 法人税法第52条(貸倒引当金)、法人税法施行令第96条(貸倒引当金勘定への繰入限度額)
- 消費税法第39条(貸倒れに係る消費税額の控除等)
会計基準
- 企業会計基準委員会「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)
- 日本公認会計士協会「金融商品会計に関する実務指針」(債権の区分・貸倒見積高の算定)
- 「中小企業の会計に関する指針」(貸倒引当金)
本記事は、IPO準備に携わる実務家向けに、取引先の倒産・経営悪化に伴う債権処理の会計・税務上の留意点を整理したものです。記載内容は法令・通達・会計基準等に基づいていますが、個別の事案の判断にあたっては最新の条文・通達および顧問税理士・監査法人にご確認ください。
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