基本定義

プライム市場とは、東京証券取引所における最上位の市場区分であり、多くの機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場である。

2022年4月の市場再編により、旧東証一部を再編して設立された。グローバルな機関投資家からの投資を呼び込むことを目的とし、旧東証一部よりも厳格な上場基準が設けられている。

市場の概要

市場コンセプトグローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向け市場
上場会社数約1,612社(2025年9月末時点)
審査期間約3ヶ月
提出書類新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)
コーポレートガバナンス・コード全原則適用(プライム市場向けの高水準原則を含む)

上場審査基準(形式要件)

プライム市場への新規上場には、以下の形式要件を満たす必要がある。

株主数800人以上
流通株式数20,000単位以上
流通株式時価総額100億円以上
流通株式比率35%以上
時価総額250億円以上
純資産の額50億円以上
利益の額又は売上高次のいずれかを満たすこと
(a) 最近2年間の利益の額の総額が25億円以上
(b) 売上高100億円以上かつ時価総額1,000億円以上
事業継続年数3年以上

実質審査基準

形式要件に加え、以下の実質審査基準への適合が求められる。

1
企業の継続性及び収益性
継続的に事業を営み、安定的かつ優れた収益基盤を有していること
2
企業経営の健全性
事業を公正かつ忠実に遂行していること
3
企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性
コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること
4
企業内容等の開示の適正性
企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
5
その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

上場審査の流れ

プライム市場への上場審査は、日本取引所自主規制法人により実施される。

事前確認
主幹事証券会社による引受審査完了後、東証への事前相談
上場申請
Ⅰの部、Ⅱの部等の申請書類を提出
ヒアリング
上場申請理由、会社の沿革、事業内容等について確認
質問・回答
書面による質問と回答のやり取り(複数回)
社長面談
代表者による事業内容・経営方針の説明
上場承認
申請から約3ヶ月

上場維持基準

プライム市場の上場会社は、以下の基準を継続的に維持することが求められる。

株主数800人以上
流通株式数20,000単位以上
流通株式時価総額100億円以上
流通株式比率35%以上
売買代金1日平均売買代金0.2億円以上

プライム市場特有の要件

英文開示義務

2025年4月より、プライム市場上場会社には以下の英文開示が義務化されている。

  • 決算情報(決算短信等)の日本語と同時の英文開示
  • 適時開示情報の日本語と同時の英文開示
  • その他重要な会社情報について、可能な限り日本語と同時に英語で開示する努力義務

コーポレートガバナンス・コードの高水準適用

プライム市場上場会社には、基本原則・原則・補充原則の全てに加え、プライム市場上場会社向けの原則への対応(コンプライ・オア・エクスプレイン)が求められる。

  • 独立社外取締役を3分の1以上選任
  • 指名委員会・報酬委員会の設置(独立社外取締役を委員の過半数とする)
  • TCFD又は同等の枠組みに基づく気候変動関連情報の開示

資本コストや株価を意識した経営

東証は2023年より、プライム市場・スタンダード市場上場会社に対し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応の開示を要請している。

他市場との比較

項目プライムスタンダードグロース
株主数800人以上400人以上150人以上
流通株式時価総額100億円以上10億円以上5億円以上
流通株式比率35%以上25%以上25%以上
時価総額250億円以上
利益基準2年間で25億円以上1年間で1億円以上
純資産50億円以上正であること

上場に係る費用

上場審査料400万円
新規上場料1,500万円
年間上場料上場時価総額に応じて96万円〜456万円
プライム市場を目指す企業へ

プライム市場へのIPOは、2024年で4社(全IPOの約5%)と非常に限られている。東京メトロのように時価総額1兆円を超える大型上場など、もともと企業規模が大きく海外展開もしている企業が主な対象となる。一般的なIPOにおいてプライム市場を直接目指すケースは少なく、グロース市場やスタンダード市場から市場区分変更を経てプライム市場を目指すルートも検討に値する。

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執筆者

石塚 康一

Koichi Ishizuka

株式会社プライムコンサルティング 代表取締役/公認会計士

北海道大学農学部を卒業後、監査法人トーマツ 旧トータルサービス事業部入所。IPO監査に一貫して従事し、その後、野村證券投資銀行部門へ転職。公開引受部・法人営業部門にて、IPOアドバイザリーや、IPO準備企業の発掘、オファリングの支援等を行う。2024年、株式会社プライムコンサルティングを創業し、独立した立場からIPOの伴走を行う。

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