公募
Public Offering / PO
基本定義
公募とは、企業が新たに株式を発行し、不特定多数の投資家(50名以上)に対して取得の申込みを勧誘することをいう。IPOにおいては、上場時に新規株式を発行して投資家から資金を調達する手法として用いられる。
公募の概要
| 正式名称 | 募集(金融商品取引法上の用語) |
|---|---|
| 英語名 | Public Offering(PO) |
| 資金の流れ | 会社に資金が入る(資金調達) |
| 株式数の変化 | 発行済株式総数が増加する |
| 勧誘対象 | 不特定多数(50名以上)の投資家 |
| 法的根拠 | 金融商品取引法第2条第3項 |
公募と売出しの比較
IPOでは「公募」と「売出し」が同時に行われることが多い。両者の違いを理解することが重要である。
| 比較項目 | 公募 | 売出し |
|---|---|---|
| 株式の出所 | 新規に発行する株式 | 既存株主が保有する株式 |
| 資金の帰属先 | 会社(発行会社) | 売出人(既存株主) |
| 発行済株式数 | 増加する | 変化しない |
| 希薄化 | 発生する(1株当たり価値が希薄化) | 発生しない |
| 主な目的 | 事業資金の調達 | 既存株主の投資回収・流動性確保 |
公募の手続きフロー
IPOにおける公募は、以下の流れで実施される。
取締役会決議
新株発行の決議(募集事項の決定)
有価証券届出書の提出
金融庁への届出、効力発生まで15日間
仮条件の決定
ブックビルディングの価格帯を設定
ブックビルディング(需要申告)
機関投資家・個人投資家からの需要を収集
公開価格の決定
需要状況に基づき発行価格を決定
申込み・払込み
投資家からの申込受付、払込金の受領
上場・取引開始
証券取引所での売買開始
公募による調達額の計算
公募による資金調達額は、以下の計算式で算出される。
計算式
手取金 = 公開価格 × 公募株式数 − 発行諸費用
計算例
公開価格:2,000円、公募株式数:500,000株、発行諸費用:5,000万円の場合
手取金 = 2,000円 × 500,000株 − 50,000,000円
= 1,000,000,000円 − 50,000,000円
= 950,000,000円(9.5億円)
= 1,000,000,000円 − 50,000,000円
= 950,000,000円(9.5億円)
公募を行う目的
事業資金の調達
設備投資、研究開発、M&A資金、運転資金など、事業成長に必要な資金を調達する。借入と異なり返済義務がない。
財務基盤の強化
自己資本の増強により、財務の安定性を高める。自己資本比率の向上や負債比率の改善につながる。
知名度・信用力の向上
上場に伴う公募により、企業の知名度や社会的信用が向上。取引先の拡大や人材採用にも好影響。
株式の流動性確保
市場に流通する株式数を増やすことで、株式の流動性を高め、適正な株価形成を促進する。
実務上のポイント
- 公募株式数は、資金調達ニーズと既存株主の希薄化許容度のバランスを考慮して決定する
- オファリング・レシオ(公募・売出し株式数÷上場時発行済株式総数)は流動性確保の観点から一定水準が求められる
- 有価証券届出書の効力発生前は、公募に関する勧誘行為が制限される(ガンジャンピング規制)
- 資金使途は有価証券届出書に記載が必要であり、投資家への説明責任が生じる
- 公募増資による希薄化は、1株当たり利益(EPS)や株価に影響を与える可能性がある
注意
公募は「募集」の通称であり、金融商品取引法上は「有価証券の募集」と定義される。50名以上の者を相手方として行う取得勧誘が該当し、50名未満の場合は「私募」となる。
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