制度ロックアップ
Regulatory Lock-up
基本定義
制度ロックアップとは、証券取引所の規則に基づき、上場直前期以降に第三者割当等により株式または新株予約権を取得した者が、上場後一定期間、当該株式等を継続保有することを確約する制度である。
制度ロックアップは、上場を利用した短期利得行為を防止し、上場直後の株式需給バランスの安定化を図ることを目的としている。東京証券取引所の有価証券上場規程施行規則第268条等に規定されており、新規上場申請会社は、対象となる株主等から継続所有の確約を取得し、証券取引所に確約書を提出する必要がある。
制度ロックアップの概要
| 根拠規則 | 有価証券上場規程施行規則第268条等 |
|---|---|
| 対象者 | 上場直前期以降に第三者割当等で株式等を取得した者 |
| ロックアップ期間 | 上場日以後6ヶ月間(払込日から1年未経過の場合は1年間) |
| 価格解除 | なし(期間経過まで売却不可) |
| 確約書 | 証券取引所への提出が必須 |
| 開示場所 | 有価証券届出書・目論見書「募集又は売出しに関する特別記載事項」 |
制度ロックアップの対象者
制度ロックアップの対象となるのは、以下に該当する者である。
1
第三者割当による株式取得者
基準事業年度の末日の1年前の日以降に第三者割当により株式を取得した者
2
新株予約権の取得者
基準事業年度の末日の1年前の日以降に第三者割当により新株予約権を取得した者
3
ストックオプション行使者
基準事業年度の末日の1年前の日以降にストックオプションを行使して株式を取得した者
ロックアップ期間の詳細
| 原則 | 上場日以後6ヶ月間 |
|---|---|
| 延長条件 | 払込日から上場日までの期間が1年に満たない場合、払込日から起算して1年間 |
| 起算日 | 上場日(延長の場合は払込日) |
例えば、上場日の8ヶ月前に第三者割当を受けた場合、上場日以後6ヶ月間ではなく、払込日から起算して1年間(=上場日以後4ヶ月間)がロックアップ期間となる。
手続きの流れ
対象者の特定
基準事業年度の末日の1年前以降の第三者割当等を確認
確約書の取得
対象者から継続所有の確約書を取得
証券取引所への提出
上場申請時に確約書を提出
有価証券届出書への記載
「募集又は売出しに関する特別記載事項」に記載
任意ロックアップとの違い
| 比較項目 | 制度ロックアップ | 任意ロックアップ |
|---|---|---|
| 根拠 | 証券取引所の上場規則 | 主幹事証券会社との任意契約 |
| 対象者 | 上場直前期以降に第三者割当で株式等を取得した者 | 上場直前期以前からの既存株主 |
| 期間 | 上場日以後6ヶ月間(原則) | 90日間または180日間(柔軟に設定可) |
| 価格解除 | なし | 1.5倍条項等を設定可能 |
| 目的 | 短期利得行為の防止 | 株価安定化・投資家保護 |
| 確約書 | 証券取引所への提出が必須 | 主幹事証券会社と締結 |
例外規定
以下の場合には、制度ロックアップの対象外となる、または期間中でも売却が認められることがある。
1
取引所が適当と認める場合
著しい経営不振等、社会通念上やむを得ないと認められる事情がある場合
2
発行会社による取得
自己株式の取得に応じる場合など
実務上のポイント
- 上場直前に実施した第三者割当増資やストックオプション行使は、ほぼ確実に制度ロックアップの対象となる
- 制度ロックアップと任意ロックアップは重複して適用されることがある(同一株主に両方が適用される場合は、期間の長い方が適用)
- 制度ロックアップには価格解除条件がないため、期間中は株価に関係なく売却できない
- 確約書を提出できない場合、上場審査に重大な支障をきたす可能性がある
- Ⅱの部「ロックアップ等又は株主間契約の状況」での記載も求められる
注意
制度ロックアップは取引所規則に基づく確約であり、法的な売却禁止制度ではない。制度上は確約書により売却が制限されるが、実際に売却を物理的に防止する仕組みはないため、対象者への十分な説明と周知が重要である。IPO準備会社においては、そもそも制度ロックアップに関する確約書の締結漏れなどがあった場合、上場申請の取り消し等の重大な措置につながる可能性がある。
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