整備状況評価
Design Effectiveness Evaluation
基本定義
整備状況評価とは、内部統制が適切に設計され、業務プロセスに組み込まれているかを確認・評価する手続のことである。統制活動が文書化され、想定されるリスクに対応できる仕組みとして整っているかを検証する。
評価の概要
| 評価の目的 | 内部統制の設計が適切であるかを確認する |
|---|---|
| 評価の対象 | 統制活動の設計・文書化の状況 |
| 評価の観点 | リスクに対応した統制が設計されているか |
| 主な評価手法 | ウォークスルー(一連の取引を追跡確認) |
| 評価の時期 | 運用状況評価の前に実施 |
| 根拠法令 | 金融商品取引法第24条の4の4(内部統制報告制度) |
主な評価項目
1
統制活動の文書化
業務フロー図、リスクコントロールマトリクス(RCM)等の整備状況
2
リスクと統制の対応関係
識別されたリスクに対して適切な統制が設計されているか
3
統制の実施主体・頻度
誰が、いつ、どのように統制を実施するかが明確か
4
職務分掌の設計
相互牽制が機能する組織体制となっているか
5
ITシステムの統制設計
IT全般統制・IT業務処理統制の設計状況
評価手続のフロー
整備状況評価は、以下の手順で実施される。運用状況評価に先立ち、統制の設計が適切であることを確認する。
評価範囲の決定
重要な勘定科目・業務プロセスを特定
文書化状況の確認
業務フロー図・RCM等の整備状況を確認
ウォークスルーの実施
取引の開始から記録までの一連の流れを追跡
統制の設計評価
統制がリスクに対応しているかを評価
不備の識別・是正
設計上の不備を識別し、改善を実施
運用状況評価との比較
| 比較項目 | 整備状況評価 | 運用状況評価 |
|---|---|---|
| 評価の目的 | 統制の設計が適切か | 統制が有効に機能しているか |
| 評価の時期 | 期中に1回実施 | 一定期間にわたり継続的に実施 |
| 主な手法 | ウォークスルー | サンプリングテスト |
| サンプル数 | 原則1件(代表的な取引) | 統計的手法に基づき複数件 |
| 確認内容 | 統制の存在・設計 | 統制の継続的な実施状況 |
| 実施順序 | 先に実施 | 整備状況評価の後に実施 |
実務上のポイント
- 整備状況評価で不備が発見された場合、運用状況評価に進む前に是正が必要となる。設計上の問題があるまま運用評価を行っても、有効性は担保されない。
- ウォークスルーでは、実際の証憑(伝票、承認印、システムログ等)を確認しながら、統制が業務プロセスに組み込まれていることを検証する。
- 文書化が不十分な場合、統制が存在していても「整備されていない」と評価される可能性があるため、業務フロー図やRCMの整備を優先的に進める必要がある。
- IPO準備段階では、N-2期から整備状況評価を開始し、早期に設計上の不備を洗い出すことが推奨される。
- IT統制の評価では、アクセス権限設定、変更管理、バックアップ等のIT全般統制の設計状況も確認対象となる。
注意
整備状況評価と運用状況評価は、内部統制評価における車の両輪である。整備状況評価で「設計は適切」と評価されても、運用状況評価で「実際には機能していない」と判明するケースがある。両方の評価を適切に実施することで、内部統制の有効性が担保される。
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