ギークリー(505A)のIPO情報——IT人材紹介の専門企業がスタンダード上場

ギークリー(505A)のIPO情報——IT人材紹介の専門企業がスタンダード上場

ギークリーは2026年2月27日に東証スタンダード市場に上場。吸収金額69億円、時価総額240億円。IT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介企業で、独自システム「OLG」による効率的なマッチングが強み。VCなしの安定した株主構成が特徴。

2026年2月27日、東証スタンダード市場に新たなIPOが登場します。ギークリー——IT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介企業です。2011年の設立以来、独自の基幹システム「OLG」を武器に成長を続け、2025年5月期には売上高71.5億円を達成しました。

想定時価総額240億円、吸収金額69億円の中型案件。売出のみで公募なしという構成ですが、IT人材需要の高まりを背景に安定した成長を続けています。本記事では、投資判断に必要な情報を整理していきます。

企業概要

創業経緯と社長の経歴

会社HPより
会社HPより

代表取締役社長の奥山貴広氏は、人材紹介業界で10年以上のキャリアを持つベテランです。2011年8月にギークリーを設立し、「IT採用のインフラになる」というビジョンのもと、IT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介事業を展開してきました。

創業から12年間、東京を拠点に事業を行ってきた同社は、2023年11月に初の地方拠点として大阪支社を開設。関西地方でのIT人材採用需要の増加に対応し、事業基盤の拡大を進めています。2025年2月には渋谷アクシュに本社を移転し、「イノベーション」をテーマにした新オフィスで次の成長フェーズに向けた体制を整えています。

事業内容と特徴

Geekly HPより
Geekly HPより

ギークリーは、IT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介サービスを提供しています。エンジニア、クリエイター、営業職、バックオフィス職など、IT業界の幅広い職種に対応し、企業と求職者のマッチングを支援しています。

最大の強みは、独自に構築した基幹システム「OLG(Online Geekly System)」です。求職者のスキルや経験をデータベース化し、AIを活用した高精度なマッチングを実現。これにより業務の効率化と成約率の向上を両立しています。

また、「Geekly Media」「Geekly Review」といった自社メディアを運営し、インバウンド集客を強化。転職プラットフォームを活用したアウトバウンド集客と組み合わせることで、安定した求職者の獲得を実現しています。

収益構造

事業系統図(有価証券届出書より引用)
事業系統図(有価証券届出書より引用)

同社の収益は、人材紹介の成功報酬型ビジネスモデルに基づいています。企業から受け取る紹介手数料が主な収益源で、求職者の入社決定時に成功報酬を得る仕組みです。

2025年5月期の従業員数は約180名。IT業界特化による専門性の高いキャリアアドバイザーを多数抱え、1人当たり売上高は約4,000万円と高い生産性を維持しています。また、面談数の推移も非常に堅調に伸びているようです。

面談数の推移(有価証券届出書より引用)
面談数の推移(有価証券届出書より引用)

市場環境

日本のIT人材紹介市場は、DX推進やAI活用の加速を背景に拡大を続けています。経済産業省の調査によると、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されており、IT人材の需要は今後も高水準で推移する見通しです。

OLGを活用したオペレーション(有価証券届出書より引用)
OLGを活用したオペレーション(有価証券届出書より引用)

IT人材紹介市場には多数の競合が存在しますが、同社はIT・Web・ゲーム業界への特化と、独自システム「OLG」による効率的なオペレーションで差別化を図っています。特に、エンジニアやクリエイターといった専門職のマッチングにおいて、業界知見を持つキャリアアドバイザーの存在が競争優位性となっています。

業績推移

主要な経営指標(有価証券届出書より引用)
主要な経営指標(有価証券届出書より引用)

業績推移で注目すべきは、売上高の着実な成長と、直近期の利益率低下です。2025年5月期は売上高71.5億円(前期比+22.4%)と成長を続けていますが、経常利益は7.0億円(前期比-41.3%)と減少。求職者獲得のための広告宣伝費増加や人件費上昇が影響しています。なお、23年5月期は決算期変更の影響で大きく金額がブレている点については注意です。

ただし、経常利益率は約9.8%と人材紹介業界としては一定の水準を維持しています。今後は効率的なオペレーションによる収益性の改善が課題となりそうです。

株主構成

株主構成の特徴として、VCの存在が見られない点が挙げられます。経営陣や関連会社が主要株主を占めており、上場後の売り圧力は限定的と考えられます。

主要株主には180日間のロックアップが設定されており、上場直後の需給面では安定した推移が期待されます。

株主名 所有株式数 所有比率 ロックアップ
株式会社ブリッジインベストメント13
6,300,000
49.28%
180日
奥山 貴広12
4,650,000
(700,000)
36.37%
(5.48%)
180日
株式会社アーキスト13
900,000
7.04%
-
西内 信4
400,000
(400,000)
3.13%
(3.13%)
180日
浅野 大樹人4
200,000
(200,000)
1.56%
(1.56%)
180日
永井 正樹4
134,000
(134,000)
1.05%
(1.05%)
180日
ギークリー従業員持株会1
81,000
0.63%
180日
中嶋 孝太
20,000
(20,000)
0.16%
(0.16%)
-
5
16,000
(16,000)
0.13%
(0.13%)
-
5
16,000
(16,000)
0.13%
(0.13%)
-
合計
12,785,000
(1,554,000)
100.00%
(12.15%)
(注)1.特別利害関係者等(大株主上位10名) 2. 特別利害関係者等(当社代表取締役社長) 3. 特別利害関係者等(役員等に総株主の議決権の過半数が所有されている会社) 4. 特別利害関係者等(当社取締役) 5. 当社従業員 6.株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は小数点以下第3位を四捨五入しております。 7. 当社は自己株式を1,574,000株所有しております。 8.( )内は、新株予約権による潜在株式数及びその割合であり、内数であります。
※本ロックアップ情報は任意ロックアップのみを表示しています。制度ロックアップは別途適用される場合があります。

成長戦略

同社は成長戦略として「システム投資によるマッチング精度向上」「CA人材の戦力化」「事業領域の拡大」の三本柱を掲げています。

システム投資——OLGの機能強化

RPA導入やAI導入の効果(有価証券届出書より引用)
RPA導入やAI導入の効果(有価証券届出書より引用)

基幹システム「OLG」の機能拡張やAI・データ分析活用により、キャリアアドバイザーの業務効率化とマッチング精度の向上を目指します。調達資金の主要な使途もこのシステム投資に充てられる予定です。

具体的には、求職者のスキルや志向を分析するAI機能の強化、企業の採用ニーズとのマッチング精度向上などが計画されています。

CA人材の戦力化と生産性向上

OLGを活用した標準化されたオペレーションと、充実したキャリアアドバイザー育成プログラムにより、高い専門性を持つCAを安定的に輩出する体制を構築しています。

2023年の大阪支社開設に続き、今後も地方拠点の展開を検討。全国のIT人材採用需要に対応できる体制づくりを進めています。

中堅・中小企業領域とハイクラス領域への展開

成長戦略の想定図(有価証券届出書より引用)
成長戦略の想定図(有価証券届出書より引用)

これまでのIT・Web・ゲーム業界での人材紹介ノウハウを活かし、未開拓の中堅・中小企業や、専門性の高いハイクラス人材のニーズにも対応できるよう事業領域の拡大を計画しています。

調達資金の使途

本IPOは売出のみの構成であり、会社への新規資金調達はありません。既存株主の一部換金を目的としたIPOとなっています。

IPOのオファリングの概要

公募・売出情報
上場市場
スタンダード
証券コード
505A
上場予定日
2026年2月27日
想定発行価格
1,880円
想定時価総額
24,073百万円
売出株式数
3,210,000株
オファリングレシオ
25.1%
幹事証券会社
主幹事証券
野村證券
元引受取引参加者
みずほ証券 SBI証券 楽天証券 岡三証券 極東証券 丸三証券 松井証券 東海東京証券
ギークリーのIPOスケジュール
1
上場承認日
2026/01/22
想定: 1,880円
2
仮条件決定日
2026/02/09
1,880 〜 1,900円
3
BB期間
2026/02/10 〜 2026/02/16
4
公募価格決定日
2026/02/17
1,900円
5
上場日
2026/02/27

本IPOの特徴と留意点

【ディールサイズ】吸収金額約69億円の中型案件です。スタンダード市場への上場としては標準的な規模で、需給面での大きな懸念はありません。

【オファリング構成】公募なし・売出のみの構成となっています。会社への新規資金調達がないため、既存株主の換金を主目的としたIPOと言えます。

【株主構成】VCの保有が見られないため、上場後の売り圧力は限定的です。主要株主には180日間のロックアップが設定されており、需給面では比較的安定した推移が期待されます。

【その他特徴】主幹事は野村證券。IT人材紹介という成長市場に属しており、業界の追い風を受けやすい銘柄と言えます。

バリュエーション比較

想定発行価格1,880円でのPERは、2025年5月期の当期純利益ベースで算出すると約40〜50倍程度と推定されます(当期純利益約5億円、発行済株式数12,805,000株の場合)。

企業名売上高経常利益率PER(予)特徴
ギークリー(本IPO)71.5億円9.8%40〜50倍IT特化人材紹介
ジェイエイシーリクルートメント約350億円25%超15〜20倍ハイクラス人材紹介
ムービン・ストラテジック・キャリア約24億円36.2%20〜25倍コンサル特化人材紹介

※ 競合企業データ:2026年1月時点(Yahoo!ファイナンス等)

人材紹介業界の上場企業と比較すると、PERはやや高めの水準です。ただし、IT人材市場の成長性や、独自システムによる差別化を考慮すると、成長プレミアムとして一定の評価は可能です。

一方で、直近期の利益率低下は気になるポイント。広告宣伝費の増加が一時的なものか、構造的なコスト増かは今後の推移を見守る必要があります。

初値に関する考察とコメント

以上の考察を基に、初値に関するプラス材料、マイナス材料は以下のとおりです。需給面は良好ですが、収益性の改善が今後の課題となりそうです。

プラス材料
  • +VCなしで需給良好
  • +主要株主に180日ロックアップ
  • +IT人材不足を背景とした成長市場
  • +独自システム「OLG」による差別化
  • +売上高22%成長の成長力
マイナス材料
  • -直近期に経常利益41%減少
  • -PERは同業比でやや割高水準
  • -公募なし・売出のみの構成

出典

  • 有価証券届出書(EDINET)
  • 東京証券取引所 新規上場会社概要
  • 各社IR資料、Yahoo!ファイナンス
  • 経済産業省「IT人材需給に関する調査」

※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。

執筆者

石塚 康一

Koichi Ishizuka

株式会社プライムコンサルティング 代表取締役/公認会計士

北海道大学農学部を卒業後、監査法人トーマツ 旧トータルサービス事業部入所。IPO監査に一貫して従事し、その後、野村證券投資銀行部門へ転職。公開引受部・法人営業部門にて、IPOアドバイザリーや、IPO準備企業の発掘、オファリングの支援等を行う。2024年、株式会社プライムコンサルティングを創業し、独立した立場からIPOの伴走を行う。

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本レポートは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。